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仙台国際日記

仙台国際日本語学校の日々をお伝えします。

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仙台国際日本語学校
SENDAI INTERNATIONAL SCHOOL OF JAPANESE

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2019.03
22
2月28日に開催した今年度の弁論大会
「楽」をテーマに、クラス予選を勝ち抜いた9人の弁士が熱弁をふるいました。
また、3組が歌や楽器の演奏を披露し、こちらも大いに盛り上がりました。
弁士のスピーチは後日動画としてお届けする予定ですが、ここでは原稿を公開します。

当日登壇した学生のものはもちろん、惜しくもクラス予選で涙を飲んだ学生の原稿の中にも、
非常に素晴らしい出来のものが相当数ありましたので、順次ご紹介していきます。
原文そのままですので、多少の読みにくさはあるかもしれませんが、是非ご一読ください。



心から楽になりました YANG TSAERONG(Taiwan) 
本選出場 優秀賞受賞

 IMG_3087.jpg

 突然ですが、留学生の皆さん、どうして日本に来たんですか。日本語を勉強するためですか、日本の生活を体験したいからですか。日本で仕事をしたいからですか。実は私、最初は現実逃避のために日本に来たんです。台湾で大学をすでに卒業した私、人生の道で迷子になっていました。仕事を始めましたが、好きではなかったので、辞めて、これからどうするかもわかりませんでした。ただ毎日家にいて、なにもしない、目標もない。これは日本語で「ニート」と言われています。皆さんどう思いますか。これは楽ですか?勉強も、仕事も、何もしていないのだから、きっと、楽な生活だと思うでしょう。
 ニートみたいな生活って、体はとても楽だし、上司には叱られないし、毎日何もしなくてもいいし、暇です。でも、実はストレスは大きいんです。ニートの中には、好きでニートをしている人がいるかもしれません。でも、私と同じように、本当はこんなで生活はだめだ、なんとかしなければ、と思っている人が多いと思います。両親に叱られなかったですが、私はもう子供ではないし、親もだんだん年をとって、体はもうそんなに強くないです。しかしもう20歳過ぎの私は仕事もしないで、まだ親を心配させていて、親不孝だと思っていました。自分はだめな人間で、なにもできない自分のことが嫌いでした。体は楽でも、心が、全然楽じゃないんです。色々迷っていたとき、友達に「日本が好きでしょう?これをチャンスにして、日本に留学して日本語を学びながら自分の将来について考えてみたら?」と言われました。ですから勇気を持って、日本に来ました。
 最初来たときなんでも新鮮だと思いました。でも私は日本語がまだ下手で、なにも知りませんでした。在留カードも銀行口座も自分一人で申し込みました。係員は早口で説明したので、私はあまり理解できませんでした。だから苦笑いをするしかなかったので、区役所の人は私が理解できないことをわかったでしょう、今でも私はわからないことがあると、いつもこの変な表情をしてしまいます。
 また、初めて日本に来た日は去年の4月で、なだ寒い日でした。私はまだ布団を買っていなかったので、夜寝るときはとても寒かったです、コートしかなかったので、全然寝られませんでした。ある日、寮の管理人さんにその話を言ったら、「え?エアコンつけなかったの?」と言われました。私はびっくりしました。台湾の冬はそんなに寒くないですから、エアコンは大体冷房だけです。日本のエアコンに暖房があることに気付きませんでした。
 こんなふうに、日本にきてからは、失敗の連続です。日本語もまだまだです。
 でも私はこの留学生活に満足しています。なぜなら、毎日一生懸命やっているからです。今アルバイトもしているし、時々日帰り旅行に行ったり、日本人の家にホームステイもしました。小説とか漫画とか、アニメやドラマを見ることで日本語を学んでいます。そして私は一人ではなく、色々な国から来た友達、みんなと一緒に頑張っています。日本へ来て、新しい経験がたくさんできました。
 ニートをしていたころの自分は、嫌いでした。何もしない、何もできませんでしたから心は苦しかったです。今は、日本へ来て、目標をみつけて、頑張っているので、前より少し自分のことが好きになりました。困った時には留学生の友達と助けあったりします。こんな私でも、だれかの役に立つことができている、自分でそう思っています。これからも頑張り続けよう!文化の違いにとまどうこともありますが、日本の毎日の経験は私を大きくかえてくれました。そして、今、私は心から楽になりました。




私事ですが今朝電車の中で、日本は「逃れの国」であるというコラムを読みました。
そこには、「日本は今、世界中の誰にとっても安全で快適な『逃れの国』という評価を得つつある」とありました。
賛否あるとは思いますが、日本は今、宗教間・国家間の緊張や紛争から逃れられる国だ、というわけです。

そのコラムの内容と、楊さんの上の文章はもしかしたら結びつけてもいいのかもしれません。
彼女にとっても日本は、ニートという負の状態から逃れるための場所だったのではないでしょうか。

来日前の彼女については上の文章以外、全くと言っていいほど知りませんが、
約1年前に来日してからの彼女は、私が見る限りでは非常に楽しそうな様子です。
小学校、中学校での国際理解教室の講師も務めるなど、イベントへの参加も積極的です。
タイトル通り、日本留学がきっかけで彼女の心がいい方向に大きく変わったのであれば、
教師という立場からだけではなく、「逃れの国」の一員としても、非常に嬉しく思います。


(セ)


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